3x3.EXE PREMIER JAPANには今季、男女あわせて8チームが新規参入します。本企画は新規参入チームのオーナーに参入の背景、クラブが目指すものなどを語ってもらい、新たに3x3.EXE PREMIER JAPANに加わる仲間を紹介するシリーズ連載です。
第3回は、WOMEN’S CATEGORYに新規参入するFLOWLISH GUNMA.EXE。共同オーナーの志村氏は、スポンサーという立場からチームを新設するにあたった経緯を、丁寧に紐解いてくれました。
群馬県の女子プロスポーツの火を消さない
地域に愛され、街にチームがある日常を
女子カテゴリーに新規参入するFLOWLISH GUNMA.EXEは、地元の群馬県で自動車販売業を行う志村潤氏と、税理士として活躍する鈴木義昭氏が共同オーナーとなって設立し、2023シーズンから3x3.EXE PREMIERに参戦する。また、2人は同じ小学校のミニバス出身で、小中と同じチームでプレーをしてきた幼なじみである。
志村「鈴木とともに立ち上げた一般社団法人Owenは、総合型地域スポーツクラブとして地域の子供たちにバスケットを教えるような活動をしています。その中で「子どもたちのすぐそばに現役のプロ選手がいて、そのプロ選手から直接バスケットを教えてもらえるような環境が作れないかな」と思ったことが、チーム設立のきっかけです」
志村、鈴木両オーナーとも3x3に関わるのは、実はこれが初めてではない。関わりを持っていた3x3チームの3x3.EXE PREMIER撤退も、参戦のひとつの転機となった。
志村「ちょうど1年前ですね。それまでPERITEC INTERNACIONAL OIZUMI.EXEという、3x3.EXE PREMIERに参戦している女子チームが群馬県にありました。私も共同オーナーの鈴木も、そのチームのスポンサーをしていたんです。このチームが3x3.EXE PREMIERから撤退すると聞いて、2人で「このままだと群馬県内から、3x3の女子プロチームがなくなってしまうね」と話をしていまして。そこから「我々で設立するのはどうか」という流れになりました」
PERITEC INTERNACIONAL OIZUMI.EXEだけではなく、同じ群馬県内にホームを置き、3x3.EXE PREMIERでも強豪であるMINAKAMI TOWN.EXEとも浅からぬ縁がある。その関係も今回の参戦に至った要因に含まれる。
志村「MINAKAMI TOWN.EXEのスポンサーもしていまして、大塚俊代表とも親しくさせていただいていたんです。チーム設立に際しては我々でやっていけるのか、3x3.EXE PREMIERはどういったリーグなのか。それに今後の女子3x3の可能性など、いろんな面で相談させていただきました。大塚さんは最初から非常に前向きで「わからないことは全部教えるので、我々で一緒に群馬県のバスケットを引っ張っていきましょう」と、私たちの背中を押してくれました」
大塚氏はFLOWLISH GUNMA.EXEの運営母体である一般社団法人Owenの理事にも名を連ね、主にアドバイザー的な役割でチームに関与する。現場で経験を積んできた人物のサポートを得られるのはアドバンテージになるだろう。それと同時に、幼なじみの鈴木共同オーナーも志村オーナーにとっては心強い存在。
志村「鈴木と2人でなかったら、チーム結成に踏ん切れていなかったかなと思います。彼とは小学校で出会ってから、ずっと一緒に時を過ごしてきている。足りないところは補いあい、困ったときは助け合える。そう思うと、気が楽になりました。運営においてはすべてのことを2人でカバーするのは難しいので、プロチームに関しては私が中心。バスケスクール・総合型地域スポーツクラブの運営は鈴木がやると分けています」
アドバイザーである大塚氏を含め、3人の関係性で前に進んでいく。
志村「まさに、その通りです。ただ我々は素人なので、MINAKAMI TOWN.EXEの選手である花野文昭くんを監督に据えて、普段の練習だとかは彼に見ていただきます」
花野氏はMINAKAMI TOWN.EXEの選手であり、2023シーズンから新規参戦するSAKU REGION.EXEの共同オーナーでもある。大塚氏が代表を務めるMINAKAMI TOWN.EXEと長野県佐久市から新規参入するSAKU REGION.EXE、そしてこのFLOWLISH GUNMA.EXEは互いに兄弟チームや、親戚関係にあるようなものだと言えるだろう。ドメスティックな観点でもチーム間の輪が広がっているのは興味深いところだ。
ところで志村オーナーは男子カテゴリーではなく、なぜ女子カテゴリーに参戦したのか。
志村「PERITEC INTERNACIONAL OIZUMI.EXEの件がひとつと、あとはMINAKAMI TOWN.EXEと協力してやっていくのに、ライバルチームを作るのもどうかなと（笑）。それに群馬県はプロスポーツが比較的に盛んですが、すべて男子チームなんですよ」
たしかに群馬県内には、バスケはBリーグの群馬クレインサンダーズ、Jリーグはザスパクサツ群馬、野球は独立リーグの群馬ダイヤモンドペガサスが存在しているが、女子のプロチームはない。
志村「バスケは男女に部活動があって、子どもたちに憧れの選手は当然いると思います。ですが群馬県には女子のプロチームが存在していないので、女子の子どもたちがプロスポーツ選手に憧れたり、身近に触れ合える環境がありませんでした。FLOWLISH GUNMA.EXEは、そういった存在になれるかなと思っています」
3x3.EXE PREMIER参入への活動を通じてもあってか、志村氏と鈴木氏で運営する総合型地域スポーツクラブに通う女子の割合は増えつつあるという。
志村「最近になって、増えてきたんですよ。今まではMINAKAMI TOWN.EXEの選手が来て教えていたので、男子がほとんど。女子は2～3名でした。現在ウチには所属選手が2名いるのですが、彼女たちがすでにスクールに教えに行っています。口コミなど広がっていて、女子選手が教えてくれるというので、今はスクール1開催につき10人くらいは来ていただくようになりました。今後選手が増えてくれば交代で教えに行ったり、ポジション別で教えることも可能になってくるかなと思っています」
今後、重要になってくるのは、ホームタウンである群馬県前橋市・高崎市の人々への周知と認知。FLOWLISH GUNMA.EXEの存在を地元に知らしめるため、どんな施策を考えているのか。
志村「仲間が群馬県に大会を誘致しまして、続けていきたいという話があったので、そこでお披露目はある程度できると思います。あとは子どもたちの大会を開いて、そこでエキシビションマッチをしたり、各地域のお祭りの一部に3x3の大会を取り入れてもらって、みなさんに見ていただくようなことも考えております。せっかく良いプレーをしても、知っていただかないことには始まらないですから。地元の新聞社や放送局などと打ち合わせはもう始めています。そういったメディアにどんどん取り上げていただけるよう、努めていきます」
3x3.EXE PREMIER参戦が当然、到達点ではない。将来的に見据えるビジョンは、前橋・高崎の街の日常にFLOWLISH GUNMA.EXEが存在する毎日。
志村「将来的なビジョンとしては、まずは地域に愛されるチームになりたい。そして3x3.EXE PREMIERで優勝して世界大会へ。そこで世界に向けて、群馬県を発信したい。そんな思いでいます。それとたとえばですけど、居酒屋で飲んでいて、後ろの席のまったく知らない人がFLOWLISH GUNMA.EXEの話をしているとか。地域の日常に溶け込んで、そんなことが普通になれば、めちゃめちゃうれしいですね」
勝負事ゆえ、勝敗にこだわるのは当然。参戦初年度で、厳しい戦いがあるかもしれない。ただし、どんな結果になろうと最後まであきらめない姿勢だけは貫き通す覚悟だ。
志村「プレーの面では、最後の1秒まであきらめずに頑張る。その姿勢を、見ていただきたいです。初年度なのでそれほど認知度もないでしょうから、まずはご協力いただいたスポンサーさんに「良かったよ」と言っていただけること。それとスクールに通ってくれる生徒たちの人数が少しでも増えたり、喜んでもらえたら成功かなと思っています」
群馬に3x3の文化を根付かせる。3x3の普及と文化を創出する。そして、女性のデュアルキャリアの実現。それらを目指してFLOWLISH GUNMA.EXEは、最初の一歩を踏み出す。
◤TEAM information◢
Team：FLOWLISH GUNMA.EXE
Since：2023
Hometown：群馬県前橋市・高崎市
SNS：
（Instagram）https://www.instagram.com/flowlish3x3/
◤新規参入に関するお問合せはこちら◢
premier@exebasketball.com
(Text by カワサキ マサシ)